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対話302 メアリアン・ウルフ 『プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?』

2010.03.16.20:12




個人的読みやすさ:D
読書時間:2時間



 ディスレクシアの人々は数多くの分野で優れた才能に恵まれていることが多い――これはけっして偶然ではないように思う。脳の左側に生じた何らかの変化が他の領域、それも特に脳の右側の優位につながるとすれば、そうした変化を背負うことになった者も、文字を使わない社会でなら、振りな立場に立たされることはほとんどないはずだ。その才能の故に、立派な市民として活躍できると思われるからである――したがって、文字を使う社会においてはあディスレクシアという障害の原因になっている脳の左側の異常そのものが、同じ脳内の優位性を決定するという逆説が成り立つことになる。(ゲシュヴィント, p.297)


 読書好きの僕としては、脳と読書というテーマを見たら読まざるを得ないわけで、したがってこの本を手に取ったのもはなはだ必然以外のなにものでもないわけで。

 さて、では果たして本書の内容はどのようなものか、という話だが、僕の予想を少し外し言語心理学、あるいは心理言語学的な側面のやや強いものであった。内容構成としては人の文字を読む能力の発展とその脳の発展、各言語による違い(英語を読む場合と日本語を読む場合で使うニューロンの経路が違う!)、そしてディスレクシア――つまるところ識字障害の問題である。

 日本語と英語で使う回路が~らへんの内容もかなり面白かったが、やはりディスレクシア研究の部分が僕にとっては華であったかなというように思う。僕は自分自身が特に文章を読むことに苦労したことがなかったからなのか、あまり識字障害に対して関心が今まで薄かった。特に日本人での識字障害の数は他国に比べてものすごく低いとされているから(ソース忘れた)、あまり日常生活でそのようなことを感じる土台がなかったのかもしれない。

 しかしながら、ディスレクシアに関する内容を一歩一歩苦労しながら読みすすめてみるとこれがなかなか面白い。一説によればエジソンやらアインシュタインやらダヴィンチやらも識字障害の可能性があったとのことで、しかもディスレクシアを持っているものはかなりの割合でその他のことで才覚を発揮することが多いようなのである。具体的には彼らの右脳発達が影響しているのだと思うけど、実際にfMRIで検証してみて文字を読む際に明らかに差がでているのが面白い。

 勿論ディスレクシアといってもその発生過程には様々なルートがあるようだ、ということは充分に考えておかなくちゃならない。本書では確か3つくらいに分けられていて、先天的に、あるいは環境的・学習的に、ディスレクシアが生まれる可能性がある。ここらへん、左利き右利きのラテラリティ研究にも繋がるところがあるように感じられ、利き腕とディスレクシアの割合などを調べるのも一興な気がしないでもない。誰か調べているのだろうか。

 あと、人が文字を読むときに間違える発達過程(似た意味の単語と間違え、似たつづりの単語と間違え、最後に意味とつづりが似たものを間違える)は現在塾講師をしている僕からすると思い当たるふしが色々あり興味深かった。言語、というカテゴリーは今までそこまでかかわりがなく認知科学的なパラダイムのものの中でも一歩引いた視点にいたけど、もう少しこの辺を掘り進めるのは充分ありな気がしてくる。

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