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対話308 リチャード・ドーキンス 『神は妄想である―宗教との決別』

2010.03.18.15:26




個人的読みやすさ:D
読書時間:4時間くらい


もし、大人になった彼らの自己が語る証言が信じられるなら、想像上の友達をもつ正常な子供のうちの、少なくとも一部はその存在を信じており、いくっつかの場合には、明確で真に迫った幻覚を見ている。私の思うに、子供時代のピンカー現象は、大人の有神論的な振興を理解するためのすぐれたモデルなのではないだろうか。(p.513)


 長い……とにかく長い……!久しぶりに500ページを超える科学エッセイを読むのには結構な体力を要するということがよくわかった。とはいえアメリカの本とかたいてい分厚いのが多いので、これでも大したことはない分量のほうなのかもしれない。アメリカ怖い。

 さて、本著ではもうものすごい勢いで有神論、特にキリスト教のような一神教を否定し、否定するだけではなくいかにそれが害悪であるかを力説している。正直日本ではそれほど宗教って目に見えるものではないし、むしろキリスト教の友人などはかなりの珍獣に値するので喜んで話を聞きにいってしまうくらいなのだけど、ことアメリカにおいてはそういうレベルではないらしい。

 確かに昼間からテレビ宣教師が色々いってたり、インテリジェンスデザイン論とかがものすごい勢いで跋扈しているような環境下のドーキンス(ドーキンスはアメリカ人じゃないけど)と、比較的のほほんとした日本では状況はだいぶ違うのだろう。ということで、むしろ僕はドーキンスにここまで書かせるくらいアメリカ・西洋社会はいまだ宗教的な社会が守られているのかー、というところに関心を持ったりした。確かにこの間アメリカ南部から遊びにきた高校生一団はみんなキリスト教徒だったような気がしないでもない。

 話はもう色々なところに広がっているので正直感想も収拾をつけづらいのだが、僕のかねてからの問題意識があった「どこまで文化相対論をとればよいのか」という問いに対して、ドーキンスが彼なりの回答を提出していたのが面白い。
 文化相対論とはつまり文化の多様性を認めるべきであるというポジションで、究極的には他人の文化にあれこれ構うのではない、という言説に繋がるものである。
 文化相対論は一見聞こえがいいぶん、極端な文化相対論下においては、僕らが考える”基本的人権”が剥奪されているような文化に対しても同じような言説を取らざるを得ないのだけど、ドーキンスはそれにたいして「世界中の選択肢を示したあとで、果たしてその人がその文化を選ぶかどうか」というところで判断するべきであるという。
 しかも彼は幼年期の宗教の押し付けはもはや犯罪的であるとこの本の中で繰り返し述べているので、実質判断力がついてきたとおもわれる時期に提出して反発しない程度の文化、ということになるのだろう。
 僕はシンプルに「その文化に属している人が悲劇を感じているのならば他の文化圏に逃れられるよという選択肢を与えてあげればよく、特にそうおもっていない場合はいいんじゃないかな」程度にしか考えていないが、この問題は人類学においても結構大きな問題ではあるなと感じる。

 また、神や宗教の役割として僕は社会システム論などのほかに「alternativeかつsuperiorな自己」の側面がある(簡単にいえば頭の中に自分より優れた人間がいたほうがいいでしょ、という意味)があるとおもっているのだけど、上記の引用のようにドーキンスが最後の最後でそれに対して触れていたのは良かった。

 ちなみに僕のポジションは「宗教を別にかばおうとはおもわないけど、儀式は人間に必要であって、宗教はその儀式の効果を加速させる役割があるな」という感じ。
 たとえば「自分より優れた自己」を生み出すのにシャーマニズムなどで取られる手法は役に立つし、宗教などで繰り返し生活に根ざす形で神をかたどることによって、それを生み出すことに貢献しているのは特に異論もないことであるとおもう。

 ただ、ドーキンスの述べたように、特にマジョリティとしての宗教が生み出す害悪もこれまた言うまでもないはずなので、現代においてはむしろ機能的に考えて、宗教というほかに同じような装置を作れないか、というような形で議論がシフトされるべきなのかな、とおもう。昨今のスピリチュアリティとか能力開発というのは宗教のオルタネイティブ的な役割がやっぱり強いとおもうのだ。

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