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対話311 アイディアは人にすぐ伝えるべきなのか?

2010.03.23.23:01




佐久 協 『高校生が感動した「論語」』

個人的読みやすさ:A
読書時間:40分


 道すがらせっかくためになる話を聴かせても、すぐにそれを別の人に話して聞かせる者がいるが、それでは自分が身につけるべき徳という宝物を道ばたに投げ捨てているのと同じだね。(陽貨第十七―十四)(p.79)


 高校生の頃、僕は漢文がそこまで好きではなかった。そこまで苦手科目ではなかった気もするのだけど、どうも訳文を見てもわかりづらい、そういう感触があったからかもしれない。

 この本は慶應高校で人気ナンバーワンだった教師が書いた「論語」に関する本だ。そこに書かれているのは非常にわかりやすい口語訳と原文で、よくありがちな堅苦しい日本語だったり、不自然だったりする日本語ではまるでない。むしろ、原文の中では対象のわかりにくい文章を作者が解釈し、それを現代のケースに置き換えて見事に説明してたりする。現代の人にわかりやすいように、というのが主眼だと思われるので、ある意味時代性がそこまで感じられない教訓集のように受け取ることも出来るのだけど、むしろそれが僕に「論語」への興味を抱かせてくれた。やっぱり導入はわくわくするものではなくては!

 この本はもはや孔子の名言集というような体裁になっているので、結構トピックが広くにわたっている。だからこそ書きたいことが結構出てきてしまうのだけど、一番考えさせられたのは引用に出した部分。つまり、「自分の体験をどこまで、そしてどのタイミングで他人とシェアするのが良いのか?」という問いだ。

 この問題を初めて考えたのは確か高校生の頃だったように思う。あの頃僕は常に「報告」することが正義だと信じていた。ウェンガー博士が言っているように、観察したものを描写することはそれに対する感受性をさらに高めてくれるのだし、人に話すと思っているからこそより多くのものが見える。そして自分の言葉にしてそれを流すことで、その考えを自分の血肉へと近づけていける。
 だけど同時に僕はその考えにも不安を持っていて、キッカケはある掲示板で僕の尊敬する――実際は会ったこともない人なのだが――が、「人に曖昧な時点での着想を話すとそれが自分の中から逃げてしまうのではないか」という文面を掲示場に放り投げていたのを見たとき。
 僕はてっきり自分の意見を表明することが正義でありそれが自分の中への定着に繋がると思っていたし、話すことが曖昧さのシェイプアップに繋がると思ってたので、これを見たときは自分はどういう態度を着想にとってすればいいのか結構悩んでしまった。


 あれからいつの間にか3年以上、もう3年以上経ってしまったわけだけど、今自分なりに出せる結論としては一つ。
 それは「自分に定着させたい着想ならしばらくは自分の中で寝かしたほうが良い」ということ。


 僕は昔から、ひらめきとか着想のことをある種の幽霊のようなものだと思っている。僕は除霊師であり、着想を成仏(外へ放出)させることで成仏したい着想が僕のところへ次々来て、晴れて僕は有能な除霊師になるというわけだ。僕と着想の間には確固たる信頼関係があるべきだし、あの世に導くことも出来ないヘボ除霊師だったら着想は寄り付かなくなる。着想業をやる場合、やはり定期的に、ある一定以上のリズムを持って、アイディアを昇華させて現実世界に着地させるべきなのだろう。

 だけど、例えば出てきた素晴らしいアイディアを、シャーマンキングよろしくオーバードライブさせたいとしたら?つまり、その着想を守護霊のようにしたり、その霊の力を借りたいなと思ったとき、それをそうそうに成仏させることが果たして正しいのか?という疑問がわいて来る。つまり、掲示板の先で僕の尊敬する人が言っていたことはそういうことなのだ。それを身体に定着させたいのだとしたら、一定以上そのアイディアを自分に憑依させなければならない。

 人に聞いた話をそのまま人に伝えることは、「その人がそう言っていた」という記憶は強化されるかもしれないけど、しかしそれは自分が主体ではない。人の話を聴いてそれを自分の言葉でメモをすることは今でも正しいと思っているしむしろ自分の身体にしみこませるためにするべきだと今でも思うけど、でもそれを人に伝えるか伝えないかでやはり違うのだ。たとえばワインのように、素晴らしい着想は一端仕入れたら少し寝かしたほうがいいのだとおもう。人のアイディアを自分のものにする方法には自分の言葉でもう一度噛み砕く他に、時間をかけてそれをじっくり身体に浸透させるというやり方があるのだから。

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