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対話333 この間の課題レポートをそのままうpしてみた

2010.05.08.14:29



内村 直之 『われら以外の人類 猿人からネアンデルタール人まで』


個人的読みやすさ:B
読書時間:30分


 「脳は大量のエネルギーを使う期間です。これが進化するのはよっぽどのこと」と、古人類学者レスリー・アイエロ(ロンドン大学)は主張しています。(p.166)


 現在履修している言語心理学の授業で出されたペーパーを書くために読んだ本で、先日無事に提出することが出来た。
今学期に履修しているクラスが割と僕的にハードだったのでここ数日はあっぷあっぷした日が続いていたが、こういう学習環境に浸れるということはもう神に感謝したいレベルで楽しいことだなと感じる。

さて、今日はそのペーパーをブログにあげてみようかなと思う。
これで僕の学生としてのレベルがうかがいしれてしまうわけなのだが、とりあえず分量が少ない理由として、一応ページ指定で2枚以内という指示が来ていたことを最初に言い訳として述べておこう。構成はブログ用に多少改変。

ネアンデルタール人と現代人の発話性の差異

 ネアンデルタール人は現代人である我々とは起源のことなる原人としてみなされている.
ネアンデルタール人はすでに30000万年前に滅びているということが定説的に言われており,その一つの理由としてネアンデルタール人が現代人のように発話が出来なかったということがあげられることもある.

 ネアンデルタール人が言語を持っていたか否かという質問に対して,私はネアンデルタール人が言語を持っていたと考える.
他の動物のコミュニケーションとは一線を画す大きな言語の特性として,本授業中に指摘のあったようなシンボルとしての意味があることがあげられるが,ネアンデルタール人はそれを持っていたのではないかというのが私の推論である.
その根拠を生物学的,また文化的側面の両方から挙げていきたい.

 まず一つに,生物学的な根拠から話をすすめる.
ネアンデルタール人が言語を持っているか否かということは研究において物議をかもしていたが,1983年のイスラエルのケバラ洞窟で発見されたネアンデルタール人の骨格が発見された.
これを調査したテルアビブ大学のアレンスバーグは1989年にネアンデルタール人の舌骨を調べて,ネアンデルタール人の話す機能は現代人と似ていたと記述している.
これ以前に研究が進められていたトゥルカナ・ボーイにおいて,マクラーノンがネアンデルタール人は話せないと結論させた要因である椎孔もその個体の化石では現代人と変わらないとされ,このことから生物学的にネアンデルタール人は話せたとする一つの要因を導き出すことが出来る(内村, 2005).

 また,ネアンデルタール人の脳の大きさはホモ・サピエンスより大きい.頭の大きさが違うため,たとえばホモ・サピエンスにおいて発話に大きく関わるブローカ野に当たるものがどの程度ネアンデルタール人に備わっていたかは確かではないし,また抽象概念を発話するのに重要な役割を果たしていると考えられる大脳新皮質においてもその大きさははっきしていない.
しかしいずれにせよ,脳のある程度の大きさは発話というコミュニケーションに影響を及ぼすことは充分に考えられ,このことからもネアンデルタール人が発話というコミュニケーションをとっていたのではないかと推測することが出来る.

 実際,人類学者でカリフォルニア大学バークレー校のディーコンは,神経学的にネアンデルタール人は現代人とほぼ変わらず,同等程度の伝達交換システムを持っていたことはほぼ疑い得ないと指摘している(内村).
 さらに, 2007年にCurrent Biologyに発表された論文では,ネアンデルタール人がこれまでに言語と関連づけられた唯一のヒト遺伝子を持っていたことが示されている.これは少なくともネアンデルタール人が言語を習得する遺伝的条件を備えていたことを意味する(Callaway).

 ただアンデルタール人がホモ・サピエンスと同じような声で発話していたとは考えにくい.
これはネアンデルタール人の顔面は前に突き出しており,口蓋が前後に長く喉頭はかなり高い位置にあったという推定が指し示している.

その結果,のどはかなり狭い形にはなっていたことは想像でき,仮にネアンデルタール人が現代に現存していたとしても,そこで言語を介してのホモ・サピエンスとの会話は難しかったかもしれない.
しかしその場合であっても,これはネアンデルタール人がシンボル性のある言語を持っていなかったことを意味しない.

 ネアンデルタール人の文化においては,その頃の我々の祖先と考えられるクロマニョン人と同じようにルヴァロワ技法というものを用いた石器製作の痕跡が認められる.
その石器製作においてはその過程でかなりの計画性が要求されるため,それを他の個体に伝達するためのコミュニケーション能力があったと考えることは無理のないことである.
そしてそのためには,単純なシグナルとしてのコミュニケーションでは難しく,より抽象的で高度なシンボルとしての性質をもった,言語という存在が必要不可欠になってくると考えられる.

 加えて,ネアンデルタール人は埋葬をしていたということがいくつかの証拠をもとに提唱されている.ホモ・サピエンスと違い,ネアンデルタール人がさまざまな副葬品とともに死者を葬ったという事例は明確には示されていない.たとえば1960年の調査では少なくとも8種類の花粉が成人男性骨格とともに見出され,コロンビア大学のソレッキはそれを儀礼的なものとみなしているが,花粉がたまたま紛れ込んだだけという可能性は排除することはできない.

しかし,亡骸をそのまま放置すれば骨は自然にバラバラになるのであるが,発見されたネアンデルタール人の遺体は整っているものも複数確認されている.これは遺体が痛む前に埋葬をしたことを指し示していると考えられるだろう.

 以上のように,ネアンデルタール人が言語を持っていたということを示す可能性は生物学的にも,文化的にも見出すことが出来る.
ネアンデルタール人が発話に充分な身体的機能を備えており,また文化的にも抽象概念のコミュニケーションが求められるような事例がいくつか見つかっているのである.

 もちろん,前述したようにネアンデルタール人の言語がホモ・サピエンスと同様の言語であったということは考えにくい.
しかしシンボル性を持った発話コミュニケーションをネアンデルタール人が持っていたことは充分に示唆されているのである.
 

引用文献
内村直之. (2005). われら以外の人類. Tokyo: 朝日新聞社.
Callaway, Ewen. (2008). Neanderthals speak out after 30,000 years. New Science. April 2008-04-15. < http://www.newscientist.com/article/dn13672>

comment

Secret

そういえば、

2010.05.10.04:38

最近、ネアンデルタール人は現世人類の祖先と交雑し、遺伝子は受け継がれているというニュースを見ました。
なんでもアフリカにとどまった人種を除き、中東、ヨーロッパ、アジアに広がっていった人類はゲノムの1~4%が彼らに由来するとか。

そのような交雑があったならば、当時の言語は違えどホモサピエンスとおんなじような文化レベルを持っていたんでしょうね、おそらく・・・

2010.05.11.23:55

どういう交流だったのかはものすごく興味があるところだよね。どうにかしてそういう記録って見つけられないのかなー。
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