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対話346 潮木 守一 『世界の大学危機―新しい大学像を求めて』

2011.06.19.17:13




個人的読みやすさ:B
読書時間:1時間半


(ドイツの大学に関して)
専門大学の前身が技師学校だった、学習年限が短い、内容が実用的だといった説明をすると、日本ではよく「それは二流大学なのではないか」と考える人がいる。しかし、卒業後の月収(フルタイム勤労者の税引き前)を比較すると(2001年データ)、総合大学卒業者の平均値が4763ユーロであるのに対して、専門大学卒業者は4334ユーロで、ほとんど差はない。つまり、この二つはタイプの差であって、どちらが上でどちらが下という関係ではない。(pp,86)

日本では個人の背景を紹介するのに、ほとんどの場合、どこの大学を卒業したかを挙げる。しかし、ドイツではどの大学を卒業したか、大学名を挙げることはほとんどない。それはだれでも、どこの大学に入ろうと思ったら、入れただろうし、それ以上に、人によっては、学部教育を終えるまでに、二つ、三つの大学を移動したというケースもあるからである、。そうなれば、卒業した大学名は、あまり意味を持たない。(pp.89)

 この問題は、大学が抱えている卓越性と高等教育の普及という、二つの対立する要件を、どう調整するかという問題に行き着く。(中略)こうした流れのなかで、最近ではドイツでも、いかにして優れた拠点大学を作り出すかが、政策課題として登場しはじめた。
2004年になってから、「エリート・キャンパス」の構築が連邦レベルで議論されている。(pp,95)


(フランスの大学に関して)
(フランスのエリートが行く鉱山技師学校に言及して)現代では、卒業生は鉱山技師ではなく、大部分が産業界、官界に就職している。毎年の入学者は100名程度にすぎず、その入学試験は厳しい。(カルロス・)ゴーンは、そこでの教育を、こう回想している。「フランスの教育は、”虚栄的な知を誇り””考察のための考察を行い””どちらがより観念的であるかを競い合う”ようなところがあった。”競争”と”選抜”と”知性の価値を重んじる”という発想に基づいており、ティームワークやコミュニケーションはまったく軽視されていた。知的体操に秀でていることが大切で、そこで習ったことが、何かの役に立つわけではなかった。」(pp.127)

ここで説明しておかなければならない点は、高等師範学校の学生になると、国家公務員の身分が与えられ、給与が支給されるということである。ただし、これは高等師範学校だけのことでなく、グランゼコールの学生はすべて国家公務員であり、給与が支給される。ここが大学性とグランゼコールの学生との、明確な相違点である。(pp.130)


(アメリカの大学に関して)
アメリカの大地のもとで試みられた実験のなかでも、もっとも成功した実験が、大学院の設立とされている。アメリカ最初の大学院は、1876年に創設されたジョンズ・ホプキンス大学であるが、その当時世界中を見回しても、どこにも「大学院」という名の組織は存在しなかった。(pp.144)

 ここでわれわれが注目しなければならないことは、その当時の大学院に対する社会の理解のしかたである。「学者のための閑職」。これこそ、当時の人々が大学院に対して抱いていたイメージであった。(pp,146)

19世紀のアメリカには、学問的な関心を満足させるカレッジは、ほとんどなかった。そこで多少なりとも学問に関心hのある若者は、ヨーロッパ、なかでもドイツに留学した。彼らはいずれもアメリカの退屈なカレッジ教育の被害者であった。(pp.152)

こうした状況のなかで、ギムナジウム相当の中等教育機関と見なし、その卒業証書である学士号をアビトゥーア相当のものとして扱うことに決定したのである。(中略)当然のことながら、こうした海外の動向は、アメリカ大学協会にインパクトを与えた。(pp,165)

ちなみに高校卒業者の平均年収は26795ドルである。高卒者を100とすれば、学部卒業者は1.9倍、修士卒業者は2.4倍、博士学位取得者は3.2倍、専門職学位取得者は3.8倍となる。(pp.176)

(学生1人当たり資産運用収入・寄付金に関して)ハーヴァードの場合は学生一人当たり約五百万強、これに対してオックスフォード、ケンブリッジは大体三十万円から四十万円、慶應は21万円である。しかし慶應は日本の私立大学のなかでは、運用収入が多い方で、私立大学平均では2万円程度にしかならない。(pp,180)


日本からはなかなか実態の見えにくいヨーロッパの大学についてざっとした歴史とその構成を知ることができたのも非常に有益だったけども、アメリカの大学院の持つパワーを見せつけられたのも大きい。
事実、僕は大学院がアメリカで生まれたということも知らなかった。
あと最後の引用でもした圧倒的な経済的格差。
ハーヴァードのやばさがランキングとかいうあいまいなものじゃなくてリアルな数字で見られて戦慄……!!

やっぱりアメリカの大学院は総合的にいろいろ魅力的だなあと思いつつ、いまだ何も手をつけていない受験勉強にプールに入るまえに足のつま先をちょんちょんと水につけるかつけるまいかの行動を発狂した白クマのように繰り返している僕がいるのです。現実!




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