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対話384 戸田山 和久 『科学哲学の冒険』

2011.09.27.20:07



読書時間:1時間半
個人的読みやすさ:D

つまり、われわれはどういうわけだか帰納をするようにできているんだから、そのことをみとめることからはじめましょうということだ。(中略)「ヒュームの呪い」はヒュームじしんによって解かれていたのである。
(p.266-267)


 どうしても帰納をしてしまう、というところに人間の一つの重大な性質がある。
帰納とはつまり「おとといもAが起こった。今日もAが起こった。明日もAが起こるだろう」みたいな考え方のことを簡単に言えば指しているわけだけど、この考え方はあらゆる日常的思考の源になっていると見なすべきだろう。

 僕の関心領域の一つであるプラシーボ効果(思い込み効果)は帰納の元に発動し、そしてそれを実際に現実化するという点で非常に面白い。つまり、少なくとも精神に関わることおよび肉体における変化について帰納的に考える場合、その背景には人間の持つ「信じた事象が肉体的変化など実態を伴って起こされる」という性質があると言える。帰納法が私たちの思考法から離れないのは、それが身体/心という非常に身近なところで、「信じる」という力技を持って発動するからであり、これが帰納法の拡大使用に繋がっているということが出来るのである。

本書で紹介することになる他の哲学的立場は、科学という謎を、哲学で理解できる範囲に切りつめているように思えてならない。
(p.13)

つまり「正しい」には強いけど「新しい」には弱い推論が演繹だと言えるだろう。
(p.49)

直接に観察できないものを指す理論語を導入しても、科学が経験から遊離してしまわないのはなぜか。論理立証主義者の答えは、対応規則を通じて理論文はすべて観察文に翻訳できるから、というものだった。
(p.66)

それについて言うとね、むしろ、疑似科学に問題があるとしたら、それは、疑似科学は多くの場合間違うことができないというところにあるんじゃないかなあ。
(p.81)

帰納にはヒュームの問題の他に、もう一つの難問がある。それが、グル―のパラドクスだ。グル―のパラドクスの本質は、投射可能な術後と投射不可能な術後の間にどのようにしたら線を引けるかという問題である。
(p.91)

そうだよね。その「関わりのあるなし」つまりレバレンスの基準を明確にすることにヘンぺルの四条件は失敗したというわけ。
(p.107)

ふふふ。テツオくんが、もしプロの哲学者になったら、哲学の常識を覆すことの方がおもしろくなると思うよ。
(p.140)

カントは、物自体という形で、認識から独立した世界の存在そのものはみとめていたんだけど、それは一切知りえない、構造や秩序を欠いたもので、世界の構造とか秩序――たとえば因果とかは、認識主観の能力が構成して世界に押しつけるものだと考えていた。だから、認識から独立した世界はみとめるけど、認識から独立した世界の秩序はみとめない。これも独立性テーゼをほとんど否定しているも同然だから、観念論だよね。
(p.142)

・社会構成主義は、世界の秩序は科学者集団の社会的活動によって世界の側に押しつけられるものだと考える。(中略)この考え方は、科学的事実を見いだすためには科学者集団による社会的プロセスが必要だということから、一足飛びに、その事実の存在そのものが社会的プロセスの産物であると結論してしまうという点で、飛躍している。
(p.148)

操作主義にしても道具主義にしても、観察不可能なものについての科学的主張を解釈し直して、その種の主張は、字面とは違ったことを本当は意味しているんだと言うわけで、ここに無理があるよね。
(p.154)

・ファン・フラーセンに代表される反実在論者は、世界に正確に対応した真なる理論を見いだすことが科学の目的だとは考えていない。反実在論の立場に立てば、そのような目的を果たすことはできないことになるからだ。むしろ反実在論は、できるだけ多くの観察可能な真理を帰結するような理論を構成して「現象を救う」ことが科学の目的であると考えている。
(p.160-161)

・対象実在論によって、悲観的帰納法に抵抗することができる。エーテルのように、結局はないことが分かって理論がラディカルに間違っていたことが判明したケースというのは、たいていの場合、操作できない対象の存在を過程する理論だったからである。
(p.212)

帰納が信頼できることを擁護するという仕事を、私たちはつい、科学をはじめる前にあらかじめすませておかなきゃいけないことだと思っちゃうけど、そんなことはできなくて、科学の中で科学を使ってやるべきことだ……。
(p.263)

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